あなたの神 みつけましょう
「大正直の人と悪心の人は、よくおかげをいただく。中くらいの人は熱心さがうすく、おかげが少ない」
金光教の教えに限りませんが、教えと言うのは素直に聞くものではありますが、そのままでは身に入らないものです。
志摩観光ホテルの名を世界に広げた高橋忠行総料理長のもとで修行し、現在は地元の有名店を経営しておられる方から教えてもらった言葉があります。
「火を通して新鮮。形を変えて自然」
教えと言うのもそういうところを目指したいと私は常々思っております。
これを読んでいるほとんどの方は、ちょっと熱心になりかけくらいの方だと思いますので、「なぁんだ、私なんかじゃ大したおかげは頂けないのか…」とがっかりしてしまうかもしれませんよね。
大正直の人は当然として、悪心の人も仏教に「悪人正機」という思想があるように、みずからの悪にめざめれば人は一転、改心する可能性があります。誤読されて「ならば悪いことをしよう」という人々がでてくることをおそれて『歎異抄』と言う書物は長く秘せられていたということです。
で、この教えの肝は、なにも「大正直や大悪の人をめざせ」というのではないと思うのです。
彼らは少数派です。圧倒的多数は、宗教にそう熱心になれない、いまいち踏み込めない、「中間層」。ここが最も多いのです。
この層が救済されずして世界が助かるということはありえません。
ですので、「おかげがうすく不信心なものほど神はいとおしく、助けずにおれない」ということなのです。神と人間界とではことばは同じでも文法が異なるので、伝わりにくいのですよね。
金光教の信仰というのは、「わが心の神にめざめる」ことです。特定の神を押し付けられるというのではなく、あなたの神様を一緒にみつけていきましょう!という心で、私は活動をしています。